第4話

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第4話

クラスは40人近い生徒がいた。心結の登場に、クラス中がざわめく。 「あれ?あの子、さっきの……」 「やっぱ美人~♪」 「静かにしろよー?うちに編入生が入ることになった。仲良くな?苛めてくれるなよ?」 芹沢がおどけていう。背中を押され、チョークを渡される。皆に背を向け、背伸びしながら名前を書いた。 『神凪心結』 皆に振り返り、柔らかい笑顔で告げた。 「神凪心結と言います。"二回目"の高校生活ですが、一緒に思い出を作っていけたらと思います。宜しくお願いします」 "二回目"という言葉に空気が一変。違ったざわめきが起きる。 「お?阪本(さかもと)の隣が空いてるな。あそこだ。ほら、皆静かにしろ」 芹沢の気遣いに気がついているはずの心結。しかし、裏腹に優しく微笑んでいた。……あの頃と変わらない、『天使の微笑み』。誰が言い出したかはわからない。彼女の微笑みは純粋そのものだ。だが、彼女への不安が募る。 (……変わらないな。あのときも、全部抱えていっちまった。また、全部抱えてどこかにいっちまうのか?神凪……) 阪本に向き直り、目を見開くと嬉しそうに、見たこともない笑みを向けていた。そう、阪本は、あの少年だった。けれど視線があった瞬間、反らされてしまう。……一瞬、哀しそうな顔をするが、すぐに笑顔に戻る。見たことのない心結の表情の変化に芹沢は胸が傷んだ。 (な、んだ?これ……) 「阪本くん、て言うのね。宜しく」 阪本は顔を背けたまま。わかっているかのように、心結はそのまま着席した。
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