飛翔のかたち

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******************** 「母さん、そろそろ行くぞ」 「あら、もうそんな時間?  じゃあ、帰りましょ」 「……また、泣いてたのか?」 「そうよ。  最近流行りの、涙活って言うの?  目は痛いんだけど、スッキリするのよね」 「まぁ、本人がイイなら、イイけどな」 「でも目が、腫れぼったくなるかしらね」 「大丈夫。  そんぐらいじゃ、  そのカワイさは揺らがねぇよ」 「……あら」 「……って、親父なら言うだろ」 囁いて歩き出した息子の背中が、 やけに逞しく見えた。 ━━生意気に、俺の心を読みやがって。 コイツもまた、出逢ったらしい。 俺達のように。 傍に居るだけで、幸せになれる相手と。 「ふふ……仁さん、行きましょ」 飛び行く花びらを追いかけるように。 柊香が穏やかに微笑んで、 樹の下を離れた。
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