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このところ。
柊香は、毎日散歩をする。
もちろん、俺も一緒に居るのだが、
彼女は飽くことなく、
のんびりと歩きながら、
日々の出来事を話して聞かせてくれる。
ずっと傍にいるのだから、
俺も知っていることなのに。
穏やかな春の陽気と言えど、
そんなに外ばかり出歩いて、
体に障らないか少し心配になる。
だが、本人は至って楽しそうだから。
彼女が良いなら、
俺はそれに文句はない。
「良い天気ね」
昔、よく二人で歩いた川辺。
近隣に住宅は増え、
ビルもニョキニョキ生えてきたが、
あの頃と変わらぬ穏やかな時間は、
確かにそこにあった。
温い日差しのヴェールを、
通り過ぎる柔らかな風が揺らしていく。
━━まったくだ。
今日も、イイ天気だぜ。
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