7人が本棚に入れています
本棚に追加
理由か、理由は簡単だ。
外界に防護服を着用せずに出たら、私達は即死する。
3万年前に存在したある国が、致死率が非常に高い細菌兵器を研究所から流失させた。
そのバイオハザードを契機として核戦争が勃発。
各国政府はその領土内に、密かに核シェルターを建設していた。
各国の政治家、資本家、軍人、科学者、核シェルターを維持するのに必要な技術者、そして彼らの家族が核シェルターに収容される。
助けを求め、核シェルターに入れてくれるよう哀願する国民を見捨てて、彼らは核シェルターに閉じこもった。
核シェルターに閉じこもった人達は、核シェルターが建設された当初は観測室と言われていた、展望室から外界を観測する。
見捨てられた国民が次々と、放射能や流失した細菌兵器などにより悶え苦しみ、死んで行くのが観測された。
核シェルターに入れて貰えなかった者達の内、極僅かな者達がその過酷な世界に順応し生き残る。
生き残った者達は核シェルター内で暮らす人達に、食料や医薬品を分けて貰えないかと交渉したが無視された。
それから2万年。
核シェルター内で生活する人達と、過酷な世界に生きる者達は交流する事無く暮らす。
転機は今から1万年前に起こった。
核シェルターから不足している物資を探しに、偵察員が過酷な世界に派遣される。
彼らは全員、死体となって核シェルターに戻って来た。
殺したのは、過酷な外界に見捨てられた者達の子孫。
最初のコメントを投稿しよう!