シークレット

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 今研究しているのは、人工子宮を使って、絶滅危惧種の動物を復活させる研究である。実験というものは失敗に失敗を重ねて、成功にたどり着くものだ。よほどの信念と根気を持って挑まなければならないのだ。  そう、この僕のようにね。  シャーレには、マユカさんの培養したいくつもの細胞があり、保存されている。そして、母さんのも。 母さんは、完璧主義であるがゆえ、僕にも完璧を求め過ぎた。大人になってこっそりと買った、チョコエッグを僕の許可もなく捨ててしまったのだ。  タクヤ、こんな添加物が含まれたお菓子を食べてはいけません。僕は、もう大人だよ、母さん。もう僕を放っておいてくれ。年老いてしわくちゃになって、眉間の皺は余計に深くなり、僕を責め立てた。許せなかったのは、チョコエッグを捨てたことではない。シークレットをくだらないと捨ててしまったことだ。頭に血が上った。今まで抑圧されたものが全て爆発した。気付いた時には、母は廊下に倒れており、息をしていなかった。人間ってこんなにあっさりと死んでしまうんだ。そう思うと悲しくて仕方なかった。     
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