シークレット

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遠足のたび、リュックを開いて僕は溜息をついた。 僕の周りの同級生は、色鮮やかなチョコレートや、フルーツのにおいのする毒々しい色のお菓子を美味そうにほうばっていた。 僕は一人、その輪から外れてこっそりと、リュックの中からおやつを取り出す。おやつは300円までという規則で、皆それぞれ思い思いに限られた予算の中で自分の好きなものを買ってきたのだろう。 「わー、何それ。だっせー。」 僕のすぐ後ろで声がした。ヤバイ、見られた。 僕は、すぐに母さんが手作りしてくれたおやつを隠す。 えーなになに見せてと、あっという間に人だかりが出来てしまったので、仕方なく僕はおずおずとその物体を取り出した。 「母ちゃんの手作りかよ!」 男子がはやしたてると、僕は恥ずかしさで耳が真っ赤になってしまった。 母さんは、買ったお菓子は添加物がたくさん含まれていて体に悪いといつも手作りでおやつを作ってくれた。 「何よ、美味しそうジャン!」 女子はそう言って僕を庇ってくれた。 「タクヤくんはいいなあ。いつもお母さんが手作りお菓子を作ってくれて。」 そう優しく語り掛ける女の子は僕の憧れのマユカさん。 マユカさんは、誰に対しても優しい。     
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