10人が本棚に入れています
本棚に追加
第一章 白い霧の中
私の中に、広がりつつある白い世界、それはなんとなく自分で感じている世界であり、第六感で感じている世界であった・・・。
ある朝、玄関のドアを開けると、白い霧で前が全く見えない状態であるのに驚いた。
初めての体験に戸惑いながらも、今まで見たことのない風景に惹きつけられていた。
その光景を見ると、身体に不思議な感覚が芽生えてくるのを肌が感じとっていた。
何も見えないが美しい。今からなにか起こりそうなそんな気がしてくるのだった。
私の他にも誰か、この景色を見ているのだろうか。
そんなことを思いながら歩いていくと、澄んだ音色の鈴の音が聞こえてきた。
何とも言えない綺麗な音色であった。
その音色の方を、目を凝らしてよく見てみると、白蛇が尻尾に鈴を付けて鳴らしながらこちらに近づいて来ていた。
青い瞳をもつ美しい白蛇は、私の顔をみると何かしゃべりだした。
「僕は、君に届け物があって君にあいにきたんだ」というと、白蛇は口の中から丸い玉を吐き出し舌の上に載せていた。
私は驚きながらも、その玉の美しさに一瞬我を忘れてしまっていた。
その玉は何もかも映し出している様に見えたのだ。
白蛇は、続けて私にこう言ったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!