1人が本棚に入れています
本棚に追加
「では、事件の事柄を全て説明しましょう。彼は奥さんに『拉致られたらしく犯人と桜の木のある場所にいる』と言われたのでしょう。奥さんは優雅で美人ですからね。そして彼がここに来たらここで桜を見つめている人がいた。それがあなたです。彼はあなたの方に走って近付いてきた。彼があなたの前に来た瞬間、彼の首に紐がかかった。そう、奥さんの手で。彼女は自白しましたよ。でもなかなかあなたを名乗ってくれませんでした。そしてあなたは急いで裏に回って紐を勢い良く引っ張った。アレですよね、太い木の枝二本くらいに紐を通せば上がるの楽のアレですよね。そしてこのダイニングメッセージと共に彼の首を吊った逆の長い紐に輪っかを結んでダイニングメッセージと釘でそれの後始末をした」
「何だ、聞いていれば。理由は何だ?」
「彼の奥さんとの不倫。そして彼の仕事量があなたより上による嫉妬。だからこそ『私を忘れないで』です」
「へっ、証拠はねぇだろ?」
「証拠?そんなもの必要ないですよ。だってそこの桜の木の下にある釘を抜いたハンカチと軍手が二組あるのですからね」
「それがどうした?」
彼は私に向かって銃を撃とうと構えた。
「あらあら、私を撃って罪を重ねる気ですよ、警察さん。止めましょ?」
「動くな、川岸!!」
桜の木にそれぞれ綺麗に隠れていた三人の警察官に彼はそこで警察に捕縛された。
そしてパトカーが到着して署に連行される前にこう言い放ってやった。
「あなたみたいな男は私は好みませんよ、絶対に」
するとドアを開けて彼はこう言った。
「優雅な女でも美人と探偵は別物だな。奴が恋じゃなくあんたに惚れるのも分かるがな」
そして彼は署に運ばれた。
「さて、あそこのコンビニで酒でも買ってきますかね」
その声に反応したように勢い良く桜吹雪が吹いてきた。その中に「ありがとう」という言葉が聞こえてきたようだった。
「こちらこそありがとうございました」
最初のコメントを投稿しよう!