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もたもたしていたらすっかり雨に降られてしまった。
屋根のある公園のベンチで雨宿りする。
濡れたせいでニットのワンピースは身体のラインに引っ付く。
いつかのことを思い出し、彼の顔を盗み見ても赤らむ素振りもなく
「はぁ~お前こんな靴はいてくるから」
呆れ声で言う。
流石にむっとした
不機嫌になり口を噤んでいると
「寒いだろう?」
彼はダウンを脱いで私の肩にかけた。
そんなことしてほしい訳じゃないのに
それなのに、ダウンには彼の熱が残っていて思いのほか温かかった。
気合を入れた最初で最後のデートのつもりだったのに、空回だけして終わってしまった。
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