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『私の身体の中には時限爆弾がある』
そう言われたのは小学五年生の時だった。
爆発しない様に成長を緩やかにする薬を飲まなくてはいけない。私の成長と一緒に病気も成長してしまうのだと、お医者さんから説明を受けた。
「な~んだ、そんなこと?じゃぁ、私はずっと子供のままでいるよ」
無邪気にそういった私に、それまで笑顔を作っていた母が急に声を出して泣いた。
その涙の意味が私には理解できなくて「大丈夫だよ」と母の頭を撫でた。
中学生になるとクラスのみんながだんだん大人っぽくなり思春期を迎える中、私は子供のままだった。
周りのクラスメイトと比べて身長も低いし胸もぺったんこで極端な話、ランドセルをしょったら小学生に見えてしまうような容姿……
恋愛トークで盛り上がる女子の輪の中にも、もちろん、男子の輪の中にも入ることが出来なかった。
昔の人気者で友達の多かった私は見る影もなくなった。
そのうち私は
我儘で、
不愛想で、
嘘つきになった。
それは確か、冬馬の身長が私を抜いた時期とも重なる。
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