雨と嫉妬

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そのことに気がついてから、私の心の中には初めての感情が芽生えた。 でも、そのもやもやしたものの正体にすぐ気がつくことが出来なかった。 少し時間が経ち春から夏へ季節が変わりはじめる。 梅雨の時期。 はっきりしない天気の中、三人で焼却場にゴミを運んでいた。 急に降られた雨に濡れて、まどかちゃんの水色の下着が透けた。 夏服の白くて薄い生地は彼女の体のラインに張り付く。 私も濡れたけど、透けているのは色気のないタンクトップだ。 冬馬の顔は少し赤らんで目を逸らした。 その瞬間、私は完全な部外者だった。 それでも、彼の表情を盗み見る そんな顔するんだ…… 長い付合いなのに初めて見る顔だった。 私はどう頑張ってもあんな顔させられない。 ちょっとずつ、染み込むみたいに思い知る。 キレイとは呼べない感情。 嫉妬心。 こんな風に気付きたくなかった。 初恋ってもっと桜みたいに淡くて綺麗なものだと思っていたのに… 最近少しずつ自覚を始めた。 いくら身体の成長を止めても、心の成長は止められない。 こんな身なりでも私は15歳だ。 いい加減、知らないことばかりじゃなくなった。 二人が並んでいる姿、笑いあっている姿はとてもバランスが良くてお似合いだ。
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