prologue case 「雨の記憶」

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働いてる居酒屋 一に現れた一人の人間。 招かざる客…そういってもおかしくない男だ。 同期だった刑事の伊花 太一(いばな たいち)がやってきたのだった。 あいつは俺に用事で訪ねてきた、と遥さんたちに伝えているという。 「で、俺に何の用事だ。とっくの前に通り魔も解決したろ。」 「あれは二年前の事件だろ、もちろん解決済みだ。」 あいつの様子を伺うと、少し焦っているように見える。 何かあったのだろうか。 「相智。今この街である事件が発生している。」 「それは?」 「連続失踪事件だ。まだマスコミも気づいてない一件なんだよ。」 先ほどまでニュースを見ていた俺でも知らない事件だった。 「その連続失踪事件の捜査がなんで行き詰っているか、を説明してくれ。」 「自分も知りたいぐらいだよ、こんな奇妙な事件。」 俺は伊花が言った奇妙、という言葉に食いついた。 奇妙にひっかけられたのが運の尽きだった。 これがある重大な事件へと発展していくということを。
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