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第一章前編 「捜査」
奇妙、という言葉に食いついてしまった俺は車の中にいた。
この車は伊花が所有している車で何回か乗せてもらったことがある。
雨が降っている中、先ほど渡してくれた伊花の手帳に目を通す。
そこには事件の資料ともいえる文章が書かれていた。
「事件発生は一週間前。
ある一人の女性が突然消えたという通報を受け、現場に駆け付けると通報者も消えていた…?」
「ああ…待ってますって言ったらしいんだが行ってみるといなくなっててどうしたのやら、だ。」
「最初の事件発生場所はトンネル近くの喫茶店か。で、今の所行方不明はその六人か…多いな」
自分が被害者になっては困るので伊花の手帳をメモに移す。
俺は事件の資料を移し終えるととあるところに気が付いた。
どれを見ても事件発生場所は同じトンネル近くの喫茶店なのだ。
「相智も気づいたか。だけどそこは調べているが行ってみるか。
少し気になってることもあるからな。」
俺を乗せた車は喫茶店Mへと向かった。
喫茶店の中はジャズの音楽が流れコーヒーの匂いなどが充満していた。
「おじさん、またちょっと調べるよ。」
「あいよ。はやめに終わってくれれば文句はないよ。」
おじさんと呼ばれる男は喫茶店の外へと出た。
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