第1章

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男は暑苦しい兵舎から出て、涼しい夜風を満喫していた。 南の方角からは、敵の陣地を攻撃している砲撃音が聞こえている。 ポケットから煙草を取り出し、1本抜こうとした時だった。 兵舎の近くに配置されていた対空砲の銃座が慌ただしくなり、西の方角の海上に向けて銃撃を開始する。 この対空砲に続き、飛行場周辺に配置されている全ての対空砲と、沖合に停泊していた数隻の艦艇の対空砲も、西の方角の海上に向けて銃撃を開始。 特攻機か? 男は月明かりに照らされている海上に目を凝らす。 いた! 海面ギリギリの所を、双発の大型機が這うように此方に向けて飛行している。 見つけた大型機の周りを見渡すと、同型の航空機が数機、同じように海面ギリギリを飛行しているのが見えた。 その内の少なくとも1機は、方肺から火を吹き出している。 飛行場を目的とした特攻機か? 先頭の機が滑走路に激突? 否、強行着陸を行った。
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