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気力を失くしてトボトボと歩く。
すると、背後から聞き覚えのある声がした。
「情けないぞ、タッくん!」
「……師匠!?」
そこには、神ってるギャグ小説を幾つも生み出す、師匠と崇める五丁目さんの姿があった。
「なんだ、そのやる気の無さは! お前の考えている事など、手に取る様に分かる!」
「申し訳御座いません!」
さすが師匠だ。俺の事なんて全てお見通しなんだ。
「分かるぞ……あめさんのスカートの中を覗こうとしてるのだろう?」
……
……
「違いますよ!!! そんな事をしたら捕まるじゃないですか!!!」
「なんだ、違うのか? つまり、覗きたくはないのだな?」
くっ……ヒールで踏まれた事故を見ていたんだ。このままでは、師匠のペースに……冷静に対処しないと……
「そんな事を言ったら、世の中の99%の男が見たいと言いますよ。でも、そんな欲望なんて心の奥底に閉じ込め……」
「そうか。生足が見たかっただけなんだな」
……
……
なんで今の会話で分かったの!? ニュータイプ!?
「情けない。生足を見るくらいで……」
「えっ、でも……」
「そんな事でいいのか! お前の小説は、心を解放した素晴らしい作品ばかりなのに、お前自身は心を解放できないのか!? ……生足を見たくらいで、捕まることなどあり得ない。それでも、この俺にまで嘘を貫き通すと言うのか!?」
「そっ、そんな事無い!!! 変態を極めし者の称号を持つ俺は、師匠に嘘などつかない! 俺は……俺は、生足が見たいんだーーー!!!」
天を仰ぎ、心を解放した。
「どうですか!? 俺の心の叫びは……って、あれ? 師匠?」
師匠は消えていた。
そして俺の周囲から人が消え、遠巻きにヒソヒソ話が聞こえる。
……変態ですって。……生足とか叫んでましたよ。
……
……
……終わった。そう思って佇んでいると、急に服の袖を引っ張られる。
「叔父さん、イケメンは何処へ行ったの!?」
「あれっ、玉子。師匠か? 俺が聞きたいよ!」
「チッ、使えないわね……まあいいわ。これ、家宝にするから大事に持っててよ!」
封筒を押し付けて、玉子は走り去って行く。
「家宝? 何が入っているんだ?」
封筒の中には、清水画伯のイラストが入っていた……
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