タッくん③

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 気力を失くしてトボトボと歩く。  すると、背後から聞き覚えのある声がした。 「情けないぞ、タッくん!」 「……師匠!?」  そこには、神ってるギャグ小説を幾つも生み出す、師匠と崇める五丁目さんの姿があった。 「なんだ、そのやる気の無さは! お前の考えている事など、手に取る様に分かる!」 「申し訳御座いません!」  さすが師匠だ。俺の事なんて全てお見通しなんだ。 「分かるぞ……あめさんのスカートの中を覗こうとしてるのだろう?」  ……  …… 「違いますよ!!! そんな事をしたら捕まるじゃないですか!!!」 「なんだ、違うのか? つまり、覗きたくはないのだな?」  くっ……ヒールで踏まれた事故を見ていたんだ。このままでは、師匠のペースに……冷静に対処しないと…… 「そんな事を言ったら、世の中の99%の男が見たいと言いますよ。でも、そんな欲望なんて心の奥底に閉じ込め……」 「そうか。生足が見たかっただけなんだな」  ……  ……  なんで今の会話で分かったの!? ニュータイプ!? 「情けない。生足を見るくらいで……」 「えっ、でも……」 「そんな事でいいのか! お前の小説は、心を解放した素晴らしい作品ばかりなのに、お前自身は心を解放できないのか!? ……生足を見たくらいで、捕まることなどあり得ない。それでも、この俺にまで嘘を貫き通すと言うのか!?」 「そっ、そんな事無い!!! 変態を極めし者の称号を持つ俺は、師匠に嘘などつかない! 俺は……俺は、生足が見たいんだーーー!!!」  天を仰ぎ、心を解放した。 「どうですか!? 俺の心の叫びは……って、あれ? 師匠?」  師匠は消えていた。  そして俺の周囲から人が消え、遠巻きにヒソヒソ話が聞こえる。  ……変態ですって。……生足とか叫んでましたよ。  ……  ……  ……終わった。そう思って佇んでいると、急に服の袖を引っ張られる。 「叔父さん、イケメンは何処へ行ったの!?」 「あれっ、玉子。師匠か? 俺が聞きたいよ!」 「チッ、使えないわね……まあいいわ。これ、家宝にするから大事に持っててよ!」  封筒を押し付けて、玉子は走り去って行く。 「家宝? 何が入っているんだ?」  封筒の中には、清水画伯のイラストが入っていた…… image=504362915.jpg
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