タッくん⑤

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 よっぴいさんと楽しく話しながら歩く。 「それにしても、この会場は広いですよね。観葉植物でしょうか? 大きなヤシの木までありますよ」 「大きなヤシの木?」  女の子しか目に映らなかった俺は、改めて会場を見渡した。  確かに広い会場だ。中央にはらせん状の階段があり、中二階構造になっている。階段の横には本物かどうか分からないヤシの木があり、今頃になって驚いた。 「南国のパーティー会場をイメージしているのかな?」 「そうかも知れませんね。あっ、あれを見て下さい」  よっぴいさんがヤシの木の下を指差す。そこは、花束を持った男達が密集していた。 「野郎が大勢いますね。まあ、男に興味はない……あっ、あれは!?」  よく見ると、野郎どもの中心には見覚えのある美少女が立っている。 「しまさーん!」 「あっ! タッくん!」  清楚で可憐な美少女は、可愛く手を振りながら駆け寄って来た。 「何してたの?」 「知らない人達に囲まれて、いきなり告白とかされて困ってたの。でも、タッくんに会えて良かった……」  しまさんの可愛さなら納得出来る。 「それでねっ……あのね……タッくんに渡したい物があるの。……受け取ってくれる?」  可愛い!!! この展開はなんだ!? とうとう俺にも運が向いてきたのか? 野郎どもから半端なく睨まれているが、そんな事は関係ない! このまま、しまさんと楽しい時間を過ごそう! 「しまさんのプレゼントなら、喜んで受け取るよ」 「嬉しい……じゃあね、しゃがんで目を閉じてくれる?」  ……  ……  しまさんは、バニーの耳をタッくんの頭に付けた。 「キャー! 可愛い!!!」 「……えっ?」 「絶対にバニーが似合うと思ってたの! あっそれからね、シッポもあるから付けておくね」 「あの……しまさん?」 「それとね、もうワンセットあるの」  ……  ……  よっぴいは逃げ出した。 「あっ、ちょっ、よっぴいさん!?」 「あれっ? 浅果さん? まあいいや。残ったウサちゃんは、狼歩さんに付けて……」  狼歩さん、逃げてくれ! 「じゃあね、タッくん!」  こうして俺は一人になり、バニーボーイへとクラスチェンジした。  
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