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よっぴいさんと楽しく話しながら歩く。
「それにしても、この会場は広いですよね。観葉植物でしょうか? 大きなヤシの木までありますよ」
「大きなヤシの木?」
女の子しか目に映らなかった俺は、改めて会場を見渡した。
確かに広い会場だ。中央にはらせん状の階段があり、中二階構造になっている。階段の横には本物かどうか分からないヤシの木があり、今頃になって驚いた。
「南国のパーティー会場をイメージしているのかな?」
「そうかも知れませんね。あっ、あれを見て下さい」
よっぴいさんがヤシの木の下を指差す。そこは、花束を持った男達が密集していた。
「野郎が大勢いますね。まあ、男に興味はない……あっ、あれは!?」
よく見ると、野郎どもの中心には見覚えのある美少女が立っている。
「しまさーん!」
「あっ! タッくん!」
清楚で可憐な美少女は、可愛く手を振りながら駆け寄って来た。
「何してたの?」
「知らない人達に囲まれて、いきなり告白とかされて困ってたの。でも、タッくんに会えて良かった……」
しまさんの可愛さなら納得出来る。
「それでねっ……あのね……タッくんに渡したい物があるの。……受け取ってくれる?」
可愛い!!! この展開はなんだ!? とうとう俺にも運が向いてきたのか? 野郎どもから半端なく睨まれているが、そんな事は関係ない! このまま、しまさんと楽しい時間を過ごそう!
「しまさんのプレゼントなら、喜んで受け取るよ」
「嬉しい……じゃあね、しゃがんで目を閉じてくれる?」
……
……
しまさんは、バニーの耳をタッくんの頭に付けた。
「キャー! 可愛い!!!」
「……えっ?」
「絶対にバニーが似合うと思ってたの! あっそれからね、シッポもあるから付けておくね」
「あの……しまさん?」
「それとね、もうワンセットあるの」
……
……
よっぴいは逃げ出した。
「あっ、ちょっ、よっぴいさん!?」
「あれっ? 浅果さん? まあいいや。残ったウサちゃんは、狼歩さんに付けて……」
狼歩さん、逃げてくれ!
「じゃあね、タッくん!」
こうして俺は一人になり、バニーボーイへとクラスチェンジした。
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