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「おねーさまー! おねーたまー! 女神さまー!」
あれだけ輝いたオーラを放っていれば、すぐに見つかる……そう思っていたけど、女神は何処にもいない。
「いないわね……きゃあっ!?」
キョロキョロしていると、人にぶつかってしまった。
「あっ、大丈夫ですか!?」
「痛たた……誰よ! 私とぶつかって恋を始め……たい……人は……」
可愛らしい女の子が申し訳なさそうに覗き込んでくる。
……
……
思わず抱きしめてしまった。
「きゃっ!」
「あっ、ごめんなさい! 子猫みたいに可愛いから、思わず抱きしめちゃいました。えへへ……私、玉子っていいます。あなたは?」
「ふふっ、面白い方ですね。私は瑞己梨と申します」
……無邪気な笑顔が可愛くて、もう一度抱きしめる。
「えっ? あの……」
しまった! これが母性本能なの? いつの間にか体が反応してたわ。
「……玉子さん?」
そんな仔犬の様な目で見ないで! 私はノーマルよ。女神は別として、イケメンが好きな普通の乙女なのよ! 何より、女の子じゃ結婚出来ないわ。野里って名字を変えられないじゃない!
「……」
ウルウルした瞳で見上げてくるから、頭をヨシヨシしてみた。
……
……
何をやってるの、玉子!? 少女漫画に出てくるヒロインを想像して、頭を撫でてしまったわ! この人は、優しくて温かい恋愛小説を書いているに違いない。きっとそうよ。だから抱きしめてしまうのよ!
「……あっ……」
強く抱きしめ過ぎたのか? 瑞己梨さんから可愛い声が漏れた。
……
……
フィーーーバーーー!!!!!!
玉子は泣きながら逃げ出した。
「あっ、ちょっ、玉子さん!?」
助けて下さい! イケメンを追いかけていたあの頃に戻して下さい!
完全に違う世界の扉を開いてしまった玉子。
その先には、玉子を救う事の出来るイケメンがいた……
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