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「らぶ……いきなり噛みついちゃ駄目だろ?」
やっと放してくれた『らぶ』を抱っこし、諭す様に話し掛ける。
すると、前方から可愛らしい声が聞こえた。
「キャー! かわいい!!!」
「えっ? ……雨音さん!」
「こんにちは、タッくん」
はじける様な可愛い笑顔の響 雨音さんだ。主にイラストや詩、それに短編をのんびりと更新する美少女クリエイター。
またしても『雨音さんの方が可愛いよ』と言ってしまいそうだったが、らぶが殺気を放ったので言葉を飲み込んだ。
「その可愛い子は、タッくんさんのワンちゃんですか?」
「……うん、そうだよ」
……
……
しまった! 雨音さんの笑顔が可愛すぎて、気がついたら『そうです』と答えてた!
はろんさん、後で土下座します。でも今だけは、らぶの力を借ります。だって……雨音さんがキラキラした目で、らぶをなでなでしているから!
「本当に可愛いっ! ……少しだけ抱っこさせて貰えませんか?」
「えっ? あっ、勿論です。でも、噛まれない様に気を付けて下さいね」
「大丈夫ですよ。ほらっ、おいで! きゃっ、くすぐったいよ。ふふっ……やんちゃなワンちゃんだね」
……
……
らぶになりたい……過去に、これほど犬になりたいと思った事があっただろうか? いや、無いはずだ!
よし、らぶを撫でるふりをして、雨音さんの美しい手に触れてみよう。
「はははっ。よかったな、ら……ぶ? ……ギャー!!!」
指を噛まれた! らぶ、裏切ったな!?
【らぶ VS タッくん】 (オッズは9:1で、らぶ優勢)
「ふふっ。見つめ合ってますね」
雨音さんは、火花を散らしている事に全く気付いていない。
「あっ、ワンちゃん!?」
突然、雨音さんの腕から抜け出し、らぶは近くを通りかかったはろんさんに抱き付いた。
「あれっ? タッくんのワンちゃんが……」
「えっ? あっ、あははは……さよなら!」
タッくんは逃げ出した。
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