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「そこの美しいお嬢さん。宜しければ私とお話でも……」
「ん? あれっ、タッくんじゃないの」
「へっ? ……あっ、うのやん!」
目の前には、人気クリエイターの満月兎の助がいる。
「うのやんも来てたんだ。じゃあね!」
「ちょっと待てい!」
タッくんは首根っこを掴まれ、逃走に失敗した。
「何で逃げるのよ?」
「この前、酷い目に遭ったんだぞ! あめさんの隠し撮り写真をくれるって言うから色々と走り回ったのに、貰った封筒には、清水画伯のイラストが入っていたじゃないか!」
「あはははは! じゃあ、ちょっと遅いけど、バレンタインチョコあげるから許してよ」
うのやんが可愛い顔で微笑み、チョコケーキを差し出して来た為、思わず受け取ってしまった。
「えっ? ありがとう……って、このチョコ、立食パーティーのスイーツだろ! それも、中途半端に食べた跡があるじゃないか!」
そう言いながらも、ちょっとドキドキする。ここは喜んで頂きます。
モグモグ……美味しい……
「あっ、食べちゃった! それ、浮浪者みたいな汚いオッサンが食べてたチョコだよ?」
「ブフゥーーーーーーー!!!」
「うわっ、吐き出さないでよ! あっ、そう言えば……そのオッサン、チョコにヨダレを……」
「オエエエエエエエ……」
吐き気がする。お食事中の皆様、ごめんなさい。
「あはははは。あっ、あそこにカイがいる! カイー!」
満月兎の助は去って行った。
「くそう……負けてたまるか……」
タッくんはフラフラしながらも、次なる美女を探し求めて動き出した。
その先には、ふわふわの、わたあめの様な姫の姿が……
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