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「ねーえー、桜綺麗だよ」
僕よりちょっとだけ背の低い女の子が、桜並木を走っていく。
「お前、転けんなよー」
彼女は随分とご機嫌なようで、
スキップ、ターン、スキッ…
「わぁ!」
「危ないっ」
僕は彼女を抱きとめて、思ってた通りの結末に笑った。
「ほら、言わんこっちゃない」
バカかお前は。と言った僕に、未だ僕にしがみついたままの彼女はへへっ…と微笑む。
こいつはちっちゃい時から良く転んで泣いていた。18になった今でも変わらない。
「ねー、しーくん?」
「なに?」
「綺麗」
ふっ、と上を見上げた彼女に合わせて空を見上げる。
「本当だな」
青空に桜の花びらが舞っていた。
、。
「しーくん」
「ん」
「いつもありがと、ね」
ぎゅっと後から抱きしめられた。暖かくて、柔らかく包み込まれて。あぁこいつも成長したんだな。
「おう」
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