プロローグ

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《どうしてこうなってしまったのだろうか…》  高さ2メートル程のステージの中央から辺りを見回すと、星の数ほどの人がサイリウムや、ペンライトなどを持ち、この薄暗闇の中を“光”を灯して俺たちメンバーを応援してくれている。 そして、何よりもこれから始まる演奏を心待ちにしているんだ。 「ーー うっ… 」 メンバーの1人1人を照らすスポットライトがあまりにも眩しく、ギターのネックを握っている手とは反対の手で、光を遮るように目の上にかざす。 その強い光のおかげで観客の顔はほとんどよく見えない。まあ、もし見えていたら緊張してしまって声が出ず、歌えないだろうから… 息を長く吐き出して呼吸を整えていると、後ろから「ユウ!」と俺の名前が呼ばれる。 そちらに目を向けるとドラム越しの『マシュ』が笑顔で頷く。 視線を横にズラすと、俺の隣にはいつでもイケると言わんばかりにベースを傾けた『ヨシヤ』が大きく頷く。 ステージの上手側に立っている『ショウちゃん』は長い髪の毛の間から、ギラギラした目で客席に睨みを利かせている。     
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