740人が本棚に入れています
本棚に追加
《どうしてこうなってしまったのだろうか…》
高さ2メートル程のステージの中央から辺りを見回すと、星の数ほどの人がサイリウムや、ペンライトなどを持ち、この薄暗闇の中を“光”を灯して俺たちメンバーを応援してくれている。
そして、何よりもこれから始まる演奏を心待ちにしているんだ。
「ーー うっ… 」
メンバーの1人1人を照らすスポットライトがあまりにも眩しく、ギターのネックを握っている手とは反対の手で、光を遮るように目の上にかざす。
その強い光のおかげで観客の顔はほとんどよく見えない。まあ、もし見えていたら緊張してしまって声が出ず、歌えないだろうから…
息を長く吐き出して呼吸を整えていると、後ろから「ユウ!」と俺の名前が呼ばれる。
そちらに目を向けるとドラム越しの『マシュ』が笑顔で頷く。
視線を横にズラすと、俺の隣にはいつでもイケると言わんばかりにベースを傾けた『ヨシヤ』が大きく頷く。
ステージの上手側に立っている『ショウちゃん』は長い髪の毛の間から、ギラギラした目で客席に睨みを利かせている。
最初のコメントを投稿しよう!