顔出しNGなのにどうしてモテるのか

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ノックもなければ遠慮もない、朝から元気な奴が俺の部屋に入って来て、二度寝をすると決めた俺を起こしにかかる。 「はい、さっさと起きる!学校遅刻するよー!?」 容赦無く布団を剥がされた俺は、布団の外の寒さから身を守るために、ミノムシのように身体を丸くする。 「さささ、寒い… 俺に外の世界は冷た過ぎるよ… だから、どうか一旦布団を返して頂けないでしょうか?」 「ダメ!お兄ちゃんそう言ってすぐに二度寝するからダメッ!」 このまま続けても布団は返してもらえそうもないので、二度寝は諦めて身体を起こすと、目の前には腰に手を当ててグッと顔を突き出している我が妹、『入月愛美(いりづき まなみ)』が可愛い頬っぺをプイと膨らませていた。 「はいはい、今起きましたよー」 「もう! お兄ちゃんは本当に寝坊助なんだから!」 そう言いながらも、こうして毎日起こしに来てくれているので、ここは1つ感謝の言葉でも掛けておこうと「愛美」と、呼んでから「いつもありがとな」と笑顔を送る。 「ふふ~ん、やっとお兄ちゃんには私がいないとダメだって気付いたのかなー?」 と、1人で満足そうな顔をしてニヤついている愛美、あとは放っておいても大丈夫だ。 まあこれでも一応“お兄ちゃん”なので妹の扱い方には慣れている。     
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