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と、お決まりのセリフを言いながら向き直ると、そこにはセミロングの黒髪をポーニーテールにして、動き易いショートパンツに足元はスニーカー、顔はバレないように黒縁の大きいメガネをかけた歩美が嬉しそうに俺を見上げていた。
いつも見慣れているはずだが、今日は少し雰囲気が違い、改めて歩美の可愛さにドキっとしてしまい、つい目をそらしてしまう。
「よろしい、ちゃんと待ち合わせの時間前に来てたのね」
「歩美に言われた通り10分前に着くように家を出て来たよ」
「偉い偉い、よく出来ました」
今日は、この前の委員長の件での埋め合わせとして、1日歩美の買い物に付き合うことになっていた。 もちろん会計は俺持ちで…
ただ買い物に付き合うだけならいいのだが、 家が近所なのにわざわざ駅で待ち合わせしたり、オシャレして来いと言われたり、待ち合わせの10分前にいなさいだったりと、今回はやけに細かい注文が多かった。
極め付けは、「勇志は男の子なんだから女の子をエスコートしなきゃいけません!」とか言われ、歩美が行きたいところを盛り込んだ買い物のコースをプランニングさせられた。男の子って大変なんだね…
結局、歩美が好きそうなお店がわからなかったので、無難にここらで一番大きなショッピングモールに来たというわけだ。
「わー! ほら勇志、こっちこっち! 早く早く!!」
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