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俺にエスコートしろと言っていた割には、モールに入るやいなや目の色を変えて、俺の手を引っ張ってあちらこちら連れ回す歩美。
俺もそんな歩美を見て、不思議と日々の疲れを忘れてしまっていた。
最近ガップレの活動が忙しかったから、歩美もゆっくり買い物なんて出来なかったんだろう。
いつも頑張ってくれている歩美のために、今日くらいはとことん付き合ってやるか!
俺は歩美の引っ張る手を握り返し、並んで歩き出したのだった。
…
……
………
一通り買い物を楽しんだ俺と歩美は、少し休憩を兼ねてショッピングモールにあるフードコートで軽くランチをすることにした。
「ふぅー、たくさん回ったから少し疲れちゃったね!」
「そうだな、久々にこんなに歩いたよ…」
「たまにはいい運動になったんじゃない?」
「俺には体育の授業だけで十分だよ、歩美は俺より元気だよな」
「歌と体力には自信があるの」
えっへんと豊かな胸を張って答える歩美に、目のやり場に困ってしまう。
「そッ、それは頼もしいことで… 」
「もう! 勇志の方が男の子なんだから頼もしくないと困るんだからね?」
「面目無い…. 」
俺が申し訳なさそうな顔をすると、歩美がプッと小さく吹き出して笑い出し、それを見た俺もつられて笑ってしまう。
歩美といると本当に楽しいな… 余計な気を使わないし、自然体でいられる。
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