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『初めまして、あなたを担当する佐々木絢です。
お名前は西宮悠太くん…でよかったかな?』
『 ……はい。』
この施設は少年院とも隣接し、少年犯罪を犯した人のカウンセラーなども行っている。
彼もそのうちの1人。
『悠太くん、まだこの院に入って間もないけど…寮室の人とはうまくいってるの?』
私がこの仕事を務めて必ずと言っていいほど
心に決めたこと…。
相手が犯罪者である内容を最初に言わない
当回しに世間話から入る…
そう決めたのは私の信任最初のカウンセリングに
私自身の失敗が重なったからだった。
『…殺したんだ。寮室の人。』
『……え?』
この少年は真面目な顔でなんで冗談を言うかと
手に持つ資料に目を通し確診した。
彼は嘘ではなく…無表情に本当のことをサラリと
私に話したのだ…。
必ずしも正常な人間から聞くことのない
人を殺したという言葉を…。
『悠太くん、まだ18歳だよね?君が殺したの?』
訪ねたとこでしまったと感じた。
また、率直に言ってしまった。
ヒヤリとした空気が一室の窓のない部屋に流れる
だか、行動は予想外だった。
『うん、僕だよ殺したの。』
『どうして?』
『別に、殺しに理由もなにもないよ』
不思議と単発的な質問ばかり投げてしまい
カウンセラーとしては然るべきであると思った。
彼は人を殺すのに意味はないと言った。
だか、私が見る彼の瞳は何処か哀しげだった。
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