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『僕はもうどうだっていい…。
どうせ死刑なんでしょう?』
彼の言う死刑…私は自分の幼い時を思いす
母とともに見た中3の夏、たまたま映し出されたテレビの死刑囚。
私は罪を犯したんだから、殺されて当然だと言った
テレビに映し出された死刑囚の顔なんて見もせずに
言葉は人までも殺せる狂気。
死刑宣告をうけた死刑囚は翌日には召された…
その翌日には冤罪…と言った単語がニュースを占めた…
冤罪?なんだろう。だか、罪に変わりないだろうと
私は母に訪ねた。
『冤罪はね、無実のひとに罪人として扱われること
ひどい話、誰にも助けられないままこの人は冤罪で死刑になったの。悪い人なんかじゃなかった』
ひどく胸がきゅっと押しつぶされる感覚。
私が言った当たり前が当たり前じゃなくて。
あの人…死刑になって無罪なのに、どんな気持ちで死んでいったのか。
気持ちが抑えられないまま何度もあの人に謝った。
彼は、本当に…人を殺せるか。
殺したなら理由もないのか。
普通は考えなくて良い思考回路が働く。
彼は私にこうとも言った…。
どうせ…みんな捨てていくんだ。
彼の悲痛な叫びを…もしかしたら誰も聞こうとしていないのかもしれない。
無性に少年の孤独を、抱きしめてあげたかった。
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