問題

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 午前一時を過ぎた町屋の駅前は、時おり歩く人影と数台の車が行き交うぐらいに閑散としていた。  今朝から続く曇天のせいで月明かりもなく、街灯のない場所は暗闇と化している。  その中を新三河島へ向かって走り出したのは、杉元の運転する軽ワゴン車だった。 「ホントに事件って、四六時中起きてるのね。東京で暮らしてくのが恐くなるわ。三國さんも、ほとんど休んでないじゃない」  松樹が助手席でそうボヤきながら窓の外を眺めている。 「九だか十ある警視庁の殺人班も、だいたい何かしらの事件を抱えているそうですからね。体力には自信のある健次郎も、さすがに堪えているようでした」 「有川さんも大変よね。今日はせっかくみんなでご飯しようって、お昼から料理してたのに。帰ってくるとは言え、ちょっと淋しそうだったし」  そう言って松樹が小さなあくびをする。 「事件は待ってくれませんからね。でも、二時間前に出て行ってこの時間に帰るということは、それなりに目星がついたということなのでしょう」 「それにしても、私に用って何かしら?」 「電話だと急いでいた様子でそこまで聞けませんでしたね。まあ明日は休みですし、早く迎えに行って帰りましょう」     
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