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一方の新稲純子はバランスのいい食事を心がけていたそうで、麦飯と鶏肉を使った一品に野菜のサラダという食事を専業主婦の母親と一緒に作っていた。
そんな食生活は嫌らしく、半年前にシステムエンジニアを引退した父親は、ここ一ヶ月ぐらい背脂系のラーメンを毎食食べ歩くような生活になっていたそうだ。
「さあ、どうでしょうHow do you think? 松樹さん、なぜおにぎりがポケットに入っていたか分かりますか? 報酬は私の体でお支払いしますから」
ほとんど目を開けないまま、松樹が笑顔で頷く。
「……推測ですけど分かりました。あと、犯人も」
「犯人もですかReally?」
「あ、だけど体はいりませんから。ふゎーぁ……」
今までの話で犯人が特定できる要素などあっただろうか。
杉元は考えながら松樹の言葉を待った。
「それで松樹さん。犯人とその理由は……?」
五反野がそう問いかけながら、ぐっと身を乗り出してくる。
「それです」
と言って松樹が指さしたのは、五反野の持っている食べかけのクリームパンだった。
「これが何か? What? クリームパンですが」
「今の五反野さんですよ。それとビタミンA」
そう言った瞬間だった。
電池が切れたように松樹の目が閉じられ、倒れそうになったその体を杉元が受け止めた。
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