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その時の様子に、捜査員は驚いたという。
警察からの連絡を受けた純子は田所が死ぬ直前に同じ道を歩いていたらしく、もう少し遅ければ自分が彼を助けたり一緒に帰ることができていたのにと号泣していた。
そんな娘の様子を見ていた母親も動揺を隠せずに泣き出すと、父親が「人前で涙を流すなど家の恥だ」と一喝したのだ。
新稲は古くから続く家であり厳格な家風だからと捜査員に話したそうだが、それでも異様さは拭えなかったという。
「Unfortunately、娘は以前から三十歳ぐらいの男にストーカーされてたそうです。中肉中背、特徴のない男だとか。それを母親が言ったところ、家の恥だと父親が激怒してI'm really scared!」
五反野の話が長かったせいか、松樹の目はさらに三分の一になっていた。
夜が苦手なのは相変わらずだ。
「えっと……その三百万を持ち逃げした女とストーカーは、誰だか分かってるんですか?」
「三百万の女は持田章子、おそらく偽名でしょう。両親が撮影した写真がこれですPlease, see it」
五反野が差し出したスマホには、髪の長い女性が田所らしい男性と一緒に笑顔で映っていた。
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