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ぜえはぁと盛大に息を切らしながらも鬼の形相で少女を追いかけ続ける男に対し、追いかけられている少女はというと楽しそうな満面の笑顔を浮かべながら男のセクハラ発言を受け流し、更には揚げ足をとって煽る始末。完全に、男の方が自分よりも年下であろう少女に遊ばれていた。
「てかテメェ! そんなミニスカートで走るんじゃねえよ! 見えてんだよ! 周りの健全な男子諸君の夜のお供になる可能性とかちょっとは気にしろ!!」
「あー! 女の子の下着見るとか隊長サイッテー!」
「見たんじゃねぇ! 見えたんだ!」
「結局見てんじゃん! 今日は何色でしたか!?」
「白とピンクの縞パンでとっても可愛らしくてイイとおもいます!ハイ!」
「でしょー!? やっぱり隊長こういうのが好みなんだー! 隊長の私室の本棚の裏にあった本の通りだね!」
「テメッ……!? なんで俺の秘宝を……!? てかまた勝手に私室入りやがったな! いい加減鍵かけんぞオラァ!」
「そんなこと言ったってどうせ三日後にはめんどくさがってかけないじゃん!」
ちなみに現在彼らが追いかけっこを繰り広げているのは誰もいない草原などではなく、人通りもそこそこある広場だったりするのだが、彼らの愉快な言い争いの現場を通りかかる人々は仲裁に入るでもなく、携帯端末を取り出すでもなく、一様に「またか……」と言う呆れの表情を浮かべながら追いかけっこを続ける男女の脇をすり抜けていく。
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