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「あたし、神野結! 森ノ宮高校に通う高校二年生!」
「あ。そういうのいいんで。さっさと進めてくれません?」
「ちょっとくらい気分に浸らせてくれてもいいじゃんか!!」
「早く香奈さんを探して下さい」
「お前戻ったら覚悟してろよ!! ボッコボコにしてやるからな! 精神的に!」
2月13日木曜日現在、結神は人間界に居た。それも、セーラー服にミニスカートという、花も恥じらう女子高生の姿で。
*
部下はノートのページを見せつけるように結神の顔面に近付けると、口を開いた。
「実はあの加藤くん、この神社に来ています」
「は? マジで?」
「日付はあの出来事が起こる前の日ですね。香奈さんからのチョコが欲しいという願いでした」
「なんだやっぱ両思いなんじゃんつまんねー! マジつまんねー!」
「ですが、このままの状態で糸を繋げても上手くいく可能性は低い。結神様もわかってますよね?」
「…………何が言いたいの?」
待ってましたとばかりに部下は笑顔で言った。
「人間界に行って二人の仲を取り持ってきて下さい」
「はあああ!? 嫌よめんどくさい! なんであたしがそんなこと!」
「縁結びの神様だからです」
「部下なんだからあんたが行けばいいでしょ!」
「こういう話は女性同士の方がいいでしょう? ほら、あなたも一応端くれですし」
「あたしはど真ん中直球ストレートで女性ですけど!?」
「それなら行って下さい」
「嫌よ! 仕事で人間界に行くなんて絶対嫌! 行くなら遊びたい! ショッピングしたい!」
ヤダヤダと駄々をこねる結神に、部下は最終兵器を投入する。
「そうですか……困りましたね。この件が上手くいけば臨時ボーナスが出ると上から……」
「よし行ってくる! 変化の羽衣との修正の万年筆持ってきて! 早く!」
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