カウントダウンを始めよう

11/19
前へ
/19ページ
次へ
「あたし、神野結! 森ノ宮高校に通う高校二年生!」 「あ。そういうのいいんで。さっさと進めてくれません?」 「ちょっとくらい気分に浸らせてくれてもいいじゃんか!!」 「早く香奈さんを探して下さい」 「お前戻ったら覚悟してろよ!! ボッコボコにしてやるからな! 精神的に!」 2月13日木曜日現在、結神は人間界に居た。それも、セーラー服にミニスカートという、花も恥じらう女子高生の姿で。 * 部下はノートのページを見せつけるように結神の顔面に近付けると、口を開いた。 「実はあの加藤くん、この神社に来ています」 「は? マジで?」 「日付はあの出来事が起こる前の日ですね。香奈さんからのチョコが欲しいという願いでした」 「なんだやっぱ両思いなんじゃんつまんねー! マジつまんねー!」 「ですが、このままの状態で糸を繋げても上手くいく可能性は低い。結神様もわかってますよね?」 「…………何が言いたいの?」 待ってましたとばかりに部下は笑顔で言った。 「人間界に行って二人の仲を取り持ってきて下さい」 「はあああ!? 嫌よめんどくさい! なんであたしがそんなこと!」 「縁結びの神様だからです」 「部下なんだからあんたが行けばいいでしょ!」 「こういう話は女性同士の方がいいでしょう? ほら、あなたも一応端くれですし」 「あたしはど真ん中直球ストレートで女性ですけど!?」 「それなら行って下さい」 「嫌よ! 仕事で人間界に行くなんて絶対嫌! 行くなら遊びたい! ショッピングしたい!」 ヤダヤダと駄々をこねる結神に、部下は最終兵器を投入する。 「そうですか……困りましたね。この件が上手くいけば臨時ボーナスが出ると上から……」 「よし行ってくる! 変化の羽衣との修正の万年筆持ってきて! 早く!」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加