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とある町にある、縁結びの神社として少しばかり有名な"恋結神社"。
「なんであたしが他人の縁結ばなきゃなんないの? その前に自分の縁結びたいんですけど。リア充なんて爆発すればいいのにマジで」
口を開けば文句ばかり、オマケに他人の幸せより不幸が大好きという捻くれた性格の面倒くさいこの女。何を隠そうこの恋結神社の神様である第22代目"結神(ゆいがみ)様"なのである。
何かの間違いであってほしいと切に願うが、これが現実なのだから仕方ない。
「文句ばかり言ってないで。ほらこれ。今日の分の願いです」
真面目な彼女の部下が一冊のノートを手渡すと、結神の眉間にシワが寄った。
「まだタブレットじゃないの? 今時手書きのノートはダサいって言ったじゃん」
「予算が欲しいならそれなりの成果を出さないと。上が認めてくれません」
結神はチッと舌打ちを鳴らし、参拝客の願い事が記された特別なノートをパラパラと捲る。
「何なに? "ありさちゃんからチョコレートが貰えますように?" はんっ! ケツの青いガキが色気付きやがって!!」
「もはや女性の言う台詞じゃありませんね」
「残念だったな少年! お前には母ちゃんからも貰えないという呪いをかけてやる!! 今年の収穫はゼロだ!!」
「思春期男子にトラウマ植え付けるのやめろ!」
身につくのはツッコミのスキルばかりである。部下の苦労は絶えない。
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