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「何言ってんのよあたしのこれなんてかわいいもんよ。弁財天様の時なんて大変だったんだから! あんた、公園のボートのジンクス知ってる?」 「ああ。ボートに乗ったカップルは別れるってやつですか?」 部下は棚の整理をしながら言った。 「そうそう! あれ当時彼氏にフラれた弁財天様が荒れに荒れまくってさぁ! ボートに乗りに来たカップルの赤い糸ばっつんばっつん切りまくったわけ! そしたらいつの間にかこの公園でボートに乗ったカップルは別れるなんてジンクス出来ちゃって一気に拡散! いやぁ、噂って怖いわぁ~」 「……うちもそんな噂が立たないように気をつけて下さいね。貴方に代わってからただでさえ評判が落ちてるんですから」 「失礼ね! あたしは大丈夫よ! たぶん!」 部下は先代の結神様のきちんとした仕事振りを懐かしく思いながら、もう一度盛大な溜め息をついた。 「……しかし私も実際にお仕えするまでは神の世界がこんなに組織めいたものだとは思いませんでした。神様も代替えなんてあるんですね。てっきり一人の方がずっとその神の名を語っているんだとばかり……」 「まぁあれよ、アイドルグループと一緒よ。メンバー入れ替わってもグループ名は変わんない的な。卒業したメンバーの代わりに新メンバー加入的な」 「アイドルって……」 「あたしの事は嫌いでもっ、恋結神社は嫌いにならないで下さいっ!!」 「そうですね。嫌いなのは最初から貴方だけです」 「死ね!!」 結神は暴言を吐いてごろりと寝返りを打つ。 ……まったく。上司じゃなかったら一発殴っていたところだ。
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