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ガラン! ガラン! ガラン!
突然鳴り響いた鈴の音に、二人の肩は飛び跳ねる。普通、鈴の音はもっと静かで美しい音色のはずなのに……この不快な音はなんだ?
音のした方へ一斉に振り向くと、そこにはぶら下がった鈴緒を引き千切らんばかりの勢いで揺らす一人の女子高生が立っていた。
彼女はまるで世の中の全てが敵であるかのような鋭い目付きで拝殿を強く睨み付けると、賽銭箱に小銭を放り込み、パァンと両手を合わせる。
小さく口を動かして、何やらぶつぶつ呟いた。
「世の中のリア充が全員爆発しますように。バレンタインなんて消えてなくなりますように。二月十四日に隕石が落ちますように。加藤のクソ野郎に天罰が下りますように!!」
その呪いのような呟きを聞いて、結神はぽつりと言った。
「やべー。なんかあの子あたしと同じニオイがする」
「……同感です」
彼女はその願い事を三回繰り返し、最後に大きく舌打ちを鳴らすと、怒ったような足取りで恋結神社を去って行く。
結神と部下は、その後ろ姿を唖然とした顔で見送った。
「……ねぇ、もしかしてあたしあの子にケンカ売られた? ケンカ売られたんだよね? え? 買うけど? 全然高値で買うけど? とりあえず何の呪いからかければいいと思う?」
「売られてないですから。何本気で呪いかけようとしてるんですか。ほら早くお札仕舞ってくださいよ」
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