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部下に言われ、結神は渋々と懐にお札を仕舞った。
「しかしなに今の子感じ悪くない? あっ、もしかしてフラれたの? フラれたの?」
「……なんでそんなに嬉しそうなんですか。仮にも縁結びの神様でしょう、仮にも」
「仮じゃなくて本物よ!!」
結神は叫ぶと、部下に命令を下した。
「何があったか気になるわ。映し世の鏡を持ってきなさい!」
"映し世の鏡"とは、自分が知りたいと思うあらゆるモノの現在・過去・未来を映してくれる特殊な三面鏡で、神の持つ秘密道具のひとつだ。
結神は三面鏡を開くと、さっそく彼女の"過去"を見始める。
真ん中の鏡にはスマホを覗き込む二人の女子高生の姿が映し出された。さっきの子と、おそらくその友達だろう。
二人は時折画面を指差しながら、わくわくと楽しそうに話しをしていた。
「あー……これ音声聞こえないんだった」
「これ過去ですよね? だったら文面で取り寄せられるんじゃないですか?」
「そうだった! さっそく手配しなさい!」
映し世の鏡は残念ながら音声を再生することは出来ない。だが、過去の出来事なら申請すれば文章でその内容を把握する事が出来るのだ。
すぐに届いた紙と照らし合わせながら、結神と部下は再び鏡を覗き込んだ。紙面の文章を鏡の中の動きに合わせてアフレコしてみる。
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