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「……」
私が口をあんぐりと開けて圧倒されていると、杉本さんはクスリと笑った。
「ね、びっくりでしょう?」
古い農家を綺麗に改装した風の建てものの中に入っていく。
中は、アンティークの家具や小物がちりばめられていて、独特の雰囲気を醸し出していた。
「素敵……」
サイフォンで入れたコーヒーの香りが店内に充満している。
ハンチング帽を被って、綺麗に手入れをした口ひげを蓄えたおじさんが、茶色のエプロンで手を拭きながら出てきそうな、そんなカフェ。
大きなベイ・ウインドウのある席に案内されて、私は外を眺めながらコーヒーを堪能した。
「美味しい……」
「でしょう。ここは、カツサンドも名物なんですよ」
カツはなー……
「あ、お弁当食べたばっかりでしたね」
「うん、お腹いっぱい」
本当は小腹がすいてたけど、面倒だったので私はそう答えた。
結局時間をかけてゆっくりとコーヒーを飲み、私たちは外に出た。
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