プロローグ

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 こんだけ整ってると隣りにいると気後れする気がするじゃない、普通だったら。  でも、浩平の場合は、隣りにいる女を居心地良く綺麗に見せる天才だ。  彼の隣りにいると、自分が3割増でいい女になった気がするってワケ。  これって……すごくいい気分。  ただのイケメンはそこらへんにうじゃうじゃいるかもしれないけど、自分を美人だと思わせてくれるイケメンはなかなかいない。  いつからこんな風になってしまったんだろう。  最初は、こんなんじゃなかった。  浩平は確かにハンサムだし、大金持ちだったけど、贅沢に遊ぶのも好きで、女好き。  浪費家でちゃらちゃらしたところとか、軽薄で浮ついたところが大嫌いで絶対こういう男のことは尊敬できないし好きになれない、って思ってたのに、気がついたら私はいつも浩平のことで頭がいっぱいだった……。  なんだかんだで付き合うことになったんだけど。  浩平は相変わらず女好きで私はいつもキリキリするハメになる。  大体、普通は、女と会うなんて隠れてコソコソするものじゃないかと思うのだけど……浩平の場合は、無邪気というかアホというか、堂々といろんな女を連れて歩きまわるのだ。  隠し立てしないから、私と鉢合わせることもあるし、目撃情報を聞くことも何回となくあった。  それどころか、面白がってチクッてくるヤカラも後を絶たない。浩平と私が喧嘩してあわよくば……ってなわけよ。
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