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「にしても、どうしてそんな話を私に?」
「桜丘さん、トキヤと仲いいから」
「全然仲良くないよ。腐れ縁的なだけで。いや、腐るほど長くもいないか……」
「トキヤがああなったの、姉さんとのことがあってからだし俺もちょっと責任感じてるから……」
「そうだったんだ……」
輪をかけて嫌なヤツだと思っていた。でも、トキヤがそうなったのは臆病さの裏返しかもしれない。もう傷つきたくないから極端に女子を遠ざけてる?
「俺なんだよね。二人が付き合うキッカケ作ったの……」
西君いわく、トキヤとお姉さんの関係はお姉さんの片想いからスタートしたそうだ。
お姉さんは最初トキヤへの告白をためらっていた。平凡な自分にトキヤみたいなかっこいい人が振り向いてくれるわけはないと思い込み、弟に恋愛相談してしまうほど思いつめていた。
「『アイツああ見えて甘党で押しに弱い可愛いところあるから思い切ってお菓子でも差し入れしてみたら』ってアドバイスしたんだ」
西君の家は和菓子屋だそうだ。当時、同じクラスだったトキヤは西君の家の和菓子をよく買いに来ていた。二人は仲がよかったそうだ。それもあり、トキヤとお姉さんはすんなり仲良くなった。
「二人が付き合うことになった時は嬉しかったけど、俺があんなこと言わなきゃトキヤはああなってなかったのかなって……」
「西君、うちのクラス来たの初めてだよね。トキヤとは今は全然……?」
小さくうなずき、西君は寂しそうに笑った。
「二人が別れてから俺達の間もなんか気まずくなって。姉さんと顔合わせづらいからか、トキヤもうちの店に全然来なくなったし……。姉さん大学入ってから遠方で一人暮らししてるんだけどね」
それすら伝えられなくて、だけど伝えたくて、とうとう私を頼ってきたんだ西君は。
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