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「タクミ、口を開けろ」
と言われたので僕は口を開けると何かが口の中に放り込まれる。
ふわりと、爽やかなミントのような香りがして、段々に意識が覚醒していく。
「……もぎゅ、ご、ごめん、僕……」
「いや、ああいった馬車は酔いが激しいから、よくある。でも大丈夫そうでよかった」
「ごくん。ありがとう。でも、今のは?」
「酔い覚ましの“レトの葉”だ。菓子にもよく使われる、そこら辺にも生えている薬草……というよりは雑草に近い植物だ」
「そうなんだ。荷馬車のおじさんがくれたのかな」
「そうだ。タクミが可愛いからかもな」
「……可愛い……僕、格好いいって言われたい」
可愛いという言葉にコンプレックスのある僕は、そう呟くとカイルに小さく笑われてしまった。
酷いと思ったものの、こうやって連れてきてくれているだけでもありがたいので僕は黙った。と、
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