第5話(鏡を見てから言いましょう)

2/8
1199人が本棚に入れています
本棚に追加
/382ページ
 突然売られてしまった喧嘩。  だが少し待って欲しいと思う。  ここでお前のような、うんたらかんたらガー……と言うのはもっと筋肉ムキムキの、そこそこ年のいった男の人が物語の定番だと思うのだ。  けれど目の前の彼は、どう考えても言われる側だ。  しかもどことなく目を輝かせているのと、周りの人達が微笑ましそうに見ているのだが……これは……。 「まさかようやく自分と同じくらいの人間が来るから言えると、喜び勇んでいらっしゃったとか?」 「! 何故気づいた!」 「いえ……嬉しそうだったので」 「く……だが、ここは絶対に言ってやろうと決めていたんだ」 「つまり?」 「ここはお嬢ちゃんのような子が来るような場所ではない。帰ってミルクでも飲んでいるんだな!」 「鏡を見てから言いましょう」
/382ページ

最初のコメントを投稿しよう!