妄想クリームパイ・吉本真悠子の場合

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オフィスに、出嶋(でじま)先輩の声が響いていた。 「吉本(よしもと)、あなたの為に言ってるのよ」 先輩は誰の為に説教しているのだろう。 それを死んだ魚の目をして聞いている後輩の私。 話よりも、先輩の艶やかなピンクのグロスが気になって仕方がない。 こんな説教、まるで公開処刑だ。 昨日、会議資料のデータ入力を残業しながら、先輩は「何故私の仕事が遅いのか」とコンコン説教し始め。 今朝、「おはようございます。昨日はすみませんでした」と一応謝ったところで昨日の説教の続きが始まってしまった、しかも大勢の前←今ここ。 日跨ぎの説教はやめてください先輩。 先輩の入力ミス見つけて訂正してましたなんて、こんなところで言えませんから。 ため息をつきながら、ふと、彼の言葉を思い出す。 『そんな奴は心の中でぶっ殺しちゃえばいい』
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