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洗濯ものを終え、外に出る支度をしようと鏡の前に座った。
何不自由のない生活。でも、なんでこんなに悲しい顔をしているんだろう。
その瞬間、静かな部屋の中に携帯の着信音が鳴り響く。
「何してるの?」
「買い物でも行こうかなって」
同じ地元から上京してきた、幼馴染の健からの電話だった。
「また泣いてたんじゃないの?相変わらず旦那にシカトされてんの?」
「あの人は…、忙しいから仕方ないんだよ」
高校卒業してからすぐにプロのカメラマンを目指して状況した健。
唯一心を許せる相手だった。
「どうせ暇なら、ランチでもしようよ」
「どうせ…って言わないでよ。一応がんばって主婦業やってるんだから…」
「それだけ言い返せる元気があるなら、まだ大丈夫だな。今から一件だけ撮影入ってるから、2時くらいでも大丈夫?」
「大丈夫。美容院でも行ってこようかな」
「了解。じゃあまだあとで」
彼の明るい声は、私に元気をくれる。結婚の話をしたときは、すごく驚いてたけど、家の事情を一番わかっているのも、健だった。
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