第一章 影

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やっぱつけられてる...... さっきコンビニの角曲がった時も居た。ずっと同じ距離保ってるし。 タッ、タッ、タッ......  タッ、タッ、タッ...... タタタタ......  タタタタ..... 歩くスピードを早めれば、背後に忍び寄る影も早くなる。スピードを遅めれば、影も遅くなる。 ドクン、ドクン...... ドクン、ドクン...... 心臓の鼓動が骨に伝わり、あたかも全身が鼓動しているかように思える。 走って逃げようかな。でも大きな荷物持ってるし...... 暑くもないのに額から流れ落ちる大粒の汗が、そのくっきりとした二重を伝い、大きな両目に流れ落ちていった。 ヘアムースを多分に含んだその汗は、見慣れた学園通りの景色にモザイクを掛けた。 もうやだ。目が痛い...... 人間の視界は前方180度のみ。後方に目が付いている人間は存在しない。 そのように考えると、人間の背後というものは実に無防備であり、後ろから突然襲われようなものならば、防御の取りようがない。 今彼女の本能が、背後に忍び寄る影に対し、正にMAXレベルでの『CAUTION』を発していたことは言うまでもなかった。 このままじゃいつか絶対殺される。もういい加減にして欲しい...... やっぱまだ後ろに居るのかな? もしかしたらもう居なくなったんじゃ...... ちょっと振り返ってみようかな......でも怖いな。 多分......もう居ない! そうに決まってる! よし、見てみよう!
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