第二章 遭遇

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「ふぁ~あぁ......」 眠くもないのに飛び出す大あくびは、カフェテリアのオープンテラスの椅子に腰掛けてから早くも10回目。特に暇という訳ではないのだが。 『学園都市駅』駅前の路地を左に曲がってすぐ横に佇むカフェテリアの日常は、正に女子大生の憩いの場と言えた。 どちらかと言うと平日はちと騒々しい感がある。 しかし日曜日ともなればその客層も一変し、読書を楽しむ初老の男性や、少し小綺麗な奥様方などが静かにティータイムを楽しんでいる。 表現として正しいかは解らないが、所謂アダルトな雰囲気がそこには漂っていた。 静かに流れるクラシック音楽は、そのアダルトな空気を更に濃くするかのように上品な音色を奏で続けている。 もっとも平日はくっちゃべる女子大生のオーケストラに打ち消され、殆んど耳に届く事はないが...... そんな上品さを全面に打ち出したカフェテリアともなれば、一人スマホ片手にあくびの連打をやらかすこの青年は少し特異な存在とも言えよう。 たまに通り掛かる女子大生らしき各々は、オープンテラスの最前列で狼の遠吠え紛いのパントマイムを繰り返すその青年の姿をじろじろと見詰めていた。 どうもひらめかんなぁ...... こんなんじゃ誰も読んでくんねぇよ...... ハァ~ァ...... 頭をかきむしり、何やら浮かない表情を浮かべた青年は、今度は大きなため息一つ。 あくび、ため息、あくび、ため息...... 執筆活動がうまくいかない時のお決まりループがまた始まったようだ。 絶対に小説書きになってやる! そんなアドレナリンみなぎる決意を固めた青年ではあったが、昼間は大学、夜はバイトの無限ループ。 執筆活動する時間などは睡眠時間を削って作る以外に方法は無かった。 もっともそれは、平日に限った話ではあるが......
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