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そして今自分の元に駆け寄って来る女性。
何となくバランスは悪いが、モテ顔である事は間違いない。
犬の好みから察するに、彼にとって彼女はジャストフィットであったに違いない。
「おぅ、真千子か。ここに居るってよく解ったな」
青年はスマホをテーブルに置き、軽く右手を上げて真千子なる女性を迎え入れた。
小説書きもちょうど行き詰まっていたところだ。気分転換と言う意味では、実にナイスタイミングと言えた。
「あなたの事は何でも解るよ。だって私......蒼太君の彼女だもん。あら言っちゃった!」
山川真千子(やまかわまちこ)......19歳。
近くの短大に通うビカビカの1年生だ。
真千子が言うように俺の彼女である事は間違いない。
ルックス的にも俺的にドンピシャだし、笑顔も素敵だし、何より一途に愛して貰ってるって手応えがある。
俺はよく周りから典型的なB型と言われる。結構マイペースだし、どちらかと言うと一人の時間を大切にするタイプだ。
にも関わらず、真千子は常に俺の空気をよんで行動してくれる。
いつぞや初めて俺の部屋に来た時も、真千子はそれなりに気合いを入れて来ていたはずだ。
ところが二人で部屋に入った途端、俺は小説書きにスイッチが入っちまって、2時間真千子を放置したあげく「あれっ、居たんだ」なんて言っちゃって......
普通は怒るだろう。でも真千子はいつもと変わらぬ笑顔。「別に気にしないで。私は一生懸命な蒼太君見てるの大好きだから」だって。
そんな真千子は今日も溢れんばかりの笑顔だ。
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