第二章 遭遇

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サバイバルミステリーか......面白そうだな。 蒼太は右手に真千子から今貰った本を持ち、左手にはちょっと重そうな紙袋。中身は蒼太が書いた小説の紙媒体だ。 一応最後まで書き上げたけど、とてもじゃないけど公開する勇気は無いな...... 俺は男だ。男なら先走って公開なんかするより、しっかり仕上げて納得出来た時点で公開しよう。それが一番いい...... すでに公開されている。しかも女の名前で。 蒼太は西日に向かって立ち上がった。そして歩き始める。 真千子から貰った本が無性に気になって仕方がない。蒼太はサバイバルとかミステリージャンルの本に目が無かった。それは真千子も知っていた事だ。 蒼太が納得出来るまで公開しないと決めた処女作も、勿論サバイバルミステリーだ。 おう、目次を見てるだけでワクワクしてきたぞ...... 気付けば歩きながら本に夢中になっている。一度何かに集中してしまうと周りが全く見えない。 執筆活動を行うという事に関しては長所とも言えるその性質も、こと公共の場を歩くという事に関しては短所である事この上もない。 落とし穴などが掘られていたならば、まず真っ先に転落する事であろう。
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