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バレンタインを過ぎたカフェ・オリエンタリス。
「こんにちはー、マスター」
「ん?・・・なんだよ、優斗。急にマスターって言うからびっくりしただろ」
満面の笑みで店内に入って来た優斗を、カフェのマスター・馨は苦笑いで迎えた。
「いやー。だってバレンタインは忙しかったでしょ?それを乗り越えた馨くんに尊敬の気持ちを抱いているというあ・か・し」
「そりゃ、どうも。でも、それを言うなら優斗もだろ?」
「まあねー。色々お手伝いしましたからねー」
「ああ。ほんとにありがとな」
にこにことしながら優斗は馨の前のカウンター席に腰をおろした。
優斗はまだまだ寒い季節だというのに、比較的軽装だった。
「その服装、作業終わり?」
「そう。今日はね、ニンジン」
「そっか、お疲れ様。何か飲んでいくか?」
「嬉しいねぇ、今日のおまかせは何?」
「今日は、春らしいのを模索中」
「なるほど、春らしさかぁ。花見楽しみだなぁ」
優斗はそれこそ花を眺めているような、嬉しそうな笑顔で呟いている。
「ははっ。もう花見の話ね」
そんな優斗を見て、馨も楽しそうに笑った。
春が待ち遠しい。
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