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「いやね、さっきふらっと店内歩いてたら、一生懸命片付けた後もお客様が滑らないようにって、ぶつからないようにって工夫しているところを見たんだよ、君はそれをどう思うのかな?」 「え? それは」 「一つの事だけ見聞きして、物事を決めてしまうのはどうかと思うよ?」 「そう、でしたね! 今回はそれに免じて、次は気をつけて」 「……はい」  店長へこれでもかと労いの言葉をかけ、去って行くマネージャー。  姿が見えなくなってから店長へ慌てて頭を下げた。  今にも溢れ出しそうな涙を隠す為に。 「ありがとうございました」  そんな私の頭を二度ほど撫でた店長は、それ以上何も言わずに去って行ってしまった。  こうして私はいつも店長に助けられる。
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