0人が本棚に入れています
本棚に追加
病気が進行し、ここに入所してから最初の春。絶望の淵にあった僕を救ったのが、この窓から見えるあの満開の桜だった。
あの桜を見た瞬間に脳内に衝撃が走った。すると途端に、頭の中に溢れんばかりのイメージが湧いてきたのだ。
その中で僕は自由を手に入れた。これまで出来なかった事も、非現実的な事もなんでも出来た。
ただの想像の域ではない。実際に身体を動かしている感覚もあり、風も光も感じられる。
これが何なのか未だに自分でも分からないが、桜が満開に咲いている間だけ実現できる不思議な力。
これのおかげで、毎年毎年また来年の春まで頑張ろうと思えた。
『楽しかったな。また明日行けるかな?』
最初のコメントを投稿しよう!