桜の季節。

　それから数週間後――――僕にとって、そして僕と同じ難病に苦しむ人達にとって重大なニュースが飛び込んできた。

　それは、この病に効果のある特効薬が開発されたという内容だった。

　まだ臨床試験を始めた段階だというので、実際に治療に使えるようになるには道のりは長いだろうが……これは一筋の希望だ。

　これを聞いたとき僕は涙が止まらなかった。

――僕はこれからも生きていく。生きていれば、希望を掴み取る可能性は残されているのだから。

　僕の人生はまだまだ長い。

　桜の季節の力を借りながら、僕は前を向いて生きていく。